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史上最強のショッパー、女性の購買プロセスとは?
(Female Consumer Power)
*ベイエリア最新事情2005年12月4日*

感謝祭明けの金曜日は「Black Friday(ブラックフライデイ)」

日時 ショッピングに出かけた人数 対前年比
11月25日(金曜日) 6,000万人以上 7.9%増
11月26日(土曜日) 5,280万人 13.3%増
11月27日(日曜日) 2,200万人 昨年と同じ
出典:The National Retail Federation

米国では、Thanksgiving(感謝祭:11月の第4木曜日)明けの金曜日(今年の場合は11月25日)を、「Black Friday」と呼んでいます。これは株価の暴落を意味する言葉ではなく、小売業が黒字(Black Ink)になる日という意味で、ホリデイショッピングの幕開けを意味します。米国経済の3分の2を支える個人消費者たちは、感謝祭の伝統的な行事として、七面鳥のディナーを満喫した翌朝は、夜明けとともに、大バーゲンの始まる小売店に走り出します。実際に、Wal-Martは午前5時、 Office Depotは午前6時、Macy’s は午前6時というように、大手の小売店は早朝からオープンします。人気の電化製品小売チェーンのBest BuyやCircuit Cityには、午前3時から開店を待つ人たちの行列が始まります。現時点では、以下の表のように、好調な滑り出しで、対前年比21.9%、1人平均の支出額302.81ドル(3万3,309円*)と、この週末だけで合計278億ドル(3兆589億円)のお金がホリデイショッピングに使われたようです(参考資料:San Francisco Chronicle 11/28/2005)。 * 円換算(1ドル=110円)

感謝祭の週末明けの月曜日は「Black Monday(ブラックマンデイ)」

こうしたオフラインのショッピングの狂騒と同様に、感謝祭の週末明けの月曜日(今年は11月28日)は「Black Monday」あるいは「Cyber Monday(サイバーマンデイ)」と呼ばれて、オフィスに戻った消費者は、ハイスピードインターネットを駆使して、オンラインショッピングに熱狂します。米国のブロードバンド普及率は、オフィス87%、一般家庭64%(Nielsen/NetRatings調べ)で、28日のオフィスのランチタイムは、1年のうちでも最もオンラインが混む時間帯のひとつです。また、オフィスからオンラインショッピングする理由は、家族に知られずにクリスマスギフトを購入して、驚かせるという理由もあるので、仕事以上にみんな大忙しということになります。

Black Fridayのオンライントラフィックの推移
各年のBlack Friday ユニークヴィジター数
2001年 420万
2002年 620万
2003年 1,200万
2004年 1,330万
2005年 1,720万

今年のブラックマンデイも、トラベル関連を除くオンラインショッピングは、昨年の3億8,600万ドル(424億6,000万円)から4億8,500万ドル(533億5,000万円)、感謝祭の11月24日(木)から11月27日(日)の4日間で、昨年の7億3,700万ドル(810億7,000万円)から、26%増の9億2,500万ドル(1,017億5,000万円)という数字が記録されました(comScore Networks調べ)。実際に、Visa Cardのオンラインでの消費は、11月21日(月)から27日(日)までの1週間で、対前年比30.3%増で22億ドル(2,420億円)を記録しています。Nielsen/NetRatingsによるオンライントラフィック報告では、ブラックフライデイだけで、ユニークヴィジターは昨年の1,330万から1,720万と29%増加し、ブラックマンデイは、ブラックフライデイよりさらに15%多く、ユニークヴィジター数は、2,770万と報告されています(オフィスと家庭両方からのアクセス)。

ブラックマンデイ1日で、eBay.comは1,170万、Amazon.comは560万、Walmart.comは309万の消費者が訪れたことになり、オンラインショッピングの比較サイトのShopping.comのトラフィックは、対前年比37%増で、340万人が月曜日にサイトを訪れています(参考資料:San Francisco Chronicle 11/28/2005)。

アメリカ人のショッピングモードに支えられている世界経済
継続するイラク戦争や8兆ドル(880兆円)という天文学的な国家債務、ハリケーン・カトリーナの被害など、米国の直面する問題はいろいろありますが、アメリカ人のメンタリティは、七面鳥を食べると、とたんにホリデイ気分に突入し、ショッピングモードに切り替わるようです。確かにガソリン価格の上昇が止まり、7月から9月までの第三四半期のGDPの実質成長率は4.3%と、2004年の第一四半期以来の高率が発表され、消費者自信指数も10月は85.2まで落ち込んでいましたが、11月は98.0まで上昇しており(1985年を100とした指数)、ウォールストリートも「Santa Claus Rally(サンタクロースラリー)」と呼ばれるホリデイモードで、DOWの平均指数は今月には1万1,000ポイントの壁を超えるといわれています(史上最高値は2000年1月の1万1,722.98ポイント)。このアメリカ人の限りないポジティブなメンタリティが、米国一国に限らず、食物連鎖のような世界経済全体を支えているという事実を考えると、思わず、車に大きなショッピングバッグを積み込むアメリカのショッパーたちに感謝したくなります。

「The Spiral Path(スパイラルパス)」vs.「Linear Path(直線パス)」

こういう狂騒の中で、男女間の購買行動の違いを考えさせる言葉が目に付きました。サンフランシスコ・ベイエリアのバーゲンハンティグ専門のライターとして、有名なSally Socolichの夫の「Men buy, Women shop(男はモノを買うだけで、女は買い物をする)」という表現は、男性と女性の購買行動における意思決定の相違を、明解に表現しています。女性に焦点をあてたマーケティングにフォーカスするThe TrendSight GroupのCEO、Martha Barletta(マーサ・バーレッタ)は、その著書「Marketing to Women」で、女性の「The Spiral Path(スパイラルパス)」と男性の「Linear Path(直線パス)」という区分で、男女間の意思決定のプロセスを分析しています。バーレッタによると、消費者の購買意思決定には、一般的に以下の4つのステージに分けられ、男性は、このステージを段階的に直線的経路によって到達しますが、女性の場合はスパイラルあるいはコークスクリューのように、前後を行ったり来たりねじれながら、結果に到達する傾向があります。

1. Activation(活性化)
2. Nomination(候補)
3. Investigation(調査)
4. Succession(継承)

「Good Solution(良い解決)」 Vs 「Perfect Answer(完全な答え)」

この男女の意思決定の違いは、「購買行動」のもつ意味が、男性の場合は「Good Solution(良い解決)」を求めるのに対して、女性は「The Optimal Solution(最適=最善の解決)」あるいは「Perfect Answer(完全な答え)」を求めるという、Expectation(期待値)の相違によって、もたらされています。米国人口の52%を占める女性は、米国全体の購買意思決定の80%に影響を及ぼし、ビジネスマネジメントの権威であるTom Peters(トム・ピータース)によれば、その購買力は国レベルでいうと日本全体の経済力を超えるという事実を考えてみると、この相違は、マーケッターにとって、非常に重要な意味を持ってきます。女性は「彼女にとっての完全な製品」を求めて、彼女が入手できる限りのあらゆるオプションを知るために、膨大な調査を開始します。この調査の途中で、新たな事実やブランドの発見があった場合、女性はためらうこともなく、また最初に戻って調査をやり直し、彼女の望むものをすべて満たす製品を探しだそうとします。もちろん、このスパイラルパスに費やす時間やエネルギーは、製品の種類や価格さらに重要度などによって異なりますが、男性に比べてマルチタスキングが可能な女性は、多忙なライフスタイルの中で、こうした意思決定のプロセスを経て、楽しみながら「ショッピング」をしています。

スパイラルパスがもたらすブランドロイヤリティとWOM効果

ここで、重要なポイントは、企業側はこうした女性の「80%では満足できないExpectation(期待値)」を考慮して、オプション、カスタマイズ、競合との比較など、できる限りの情報を提供し、さらに彼女たちの望みや希望を聞くという姿勢が、非常に重要な要素となります。特に、男性は誰かにアドバイスを求めることを「妥協」だと思いがちですが、女性は意思決定をするときに、アドバイスや情報を捜し求め、それを得るための努力を惜しまず、むしろ楽しむ傾向があります。こうした女性特有の購買行動に投資した膨大な時間やエネルギーは、企業が彼女に完全な答えをもたらした場合、「ブランドロイヤリティ」や「Word Of Mouth(WOM:口コミ)」という大きなアドバンテージを提供します。

CPO(Chief Purchasing Officer:最高購買責任者)としての女性の役割

我が家の場合は、なぜか私の意思決定は「Linear Path(直線パス)」で、夫は「The Spiral Path(スパイラルパス)」になることが多いので、この理論がすべての女性にあてはまるとは言えませんが、確かに男女間の相違における重要な傾向として、把握しておかなければならないものです。米国のビジネスの40%は女性が所有しており、彼女たちの会社は、Fortune 500 のワールドワイドの会社よりも、社員を多く雇用しています。また、Consumer Electronics Associationによれば、今年のテック関連製品の消費は、すでに男性より女性のほうが上回っており、Dell、Samsung、Radio Shack、Best Buyなど、大手テック関連小売メーカーは、従来のマーケティング戦略や店舗デザインを見直して、女性ターゲットに注力する方向にシフトしています。ショッピングのプロフェッショナルである女性は、製品カテゴリに限らず、オフィスと家庭の両方で、CPO(Chief Purchasing Officer:最高購買責任者)としての影響力が高まる中、彼女たちへの理解が、ビジネス成功への鍵であることは、確かです。

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大柴ひさみ (Hisami Ohshiba)

1979年外資系広告代理店電通ヤングアンドルビカム(DY&R)に入社、外資系企業の広告マーケティングを16年間担当。1995年にカリフォルニアに移住し、米国大手広告代理店やダイレクトマーケティングの会社勤務などを経た後、1998年2月JaM Japan Marketingを設立。2001年1月ビジネス拡大のために、JaM Japan MarketingをLLCとして組織変更する。海外市場進出を目指す日米企業を対象にクロスカルチャーなナレッジをベースに、マーケティング戦略の開発立案、市場調査分析、広告PR、ローカリゼーションを含むコンサルティング活動を提供。講演・執筆活動も多く手がけている。
大柴ひさみの初の書籍「ひさみの冒険」がひつじ書房より発行されています、詳細はこちらhttp://www.hisami.com)で。また、大柴ひさみの近況がわかるブログもゾクゾク更新されています。ご意見・ご質問歓迎します。



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