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Generation Y: 職場にも現れたジェネレーション Yのヘリコプター両親
(Generation Y: Helicopter parents at the work place.)

*ベイエリア最新事情2006年4月27日*

ジェネレーション Yの「大学選びもショッピング」

ヴァーモント州の St. Michael’s CollegeのディレクターJacqueline Murphy(ジャクリーン・マーフィー)は、「いまだかつて、Millennial Kids(ミレニアルキッズ=ジェネレーション Y*)ほど、最も愛されて大事に育てられた子供はいない。彼らは物事が瞬時にパーフェクトにできることを欲する」と発言して、Gen Yの最近の大学の選び方について言及しています。政府の複数のデータによると、過去20年間で複数の大学に編入する学生の比率が上昇しており、1992年から1993年では53%だった1つ以上の大学に編入した学生は、1999年から2000年では59%にアップし、16%が3つ以上、8%が4つ以上の大学に編入していると報告されています。

常に親のコーディネーションのもとで、「銀のプレート」の上で大事に育てられたジェネレーション Yは、前述のマーフィーが指摘する「Instant Gratification(瞬間的な満足や報酬)」を当然と思い、「自分にフィットする大学を見つけるまで、大学を探して回る」と考え、まるでジーンズをショッピングするように「大学もショッピング」しています。また、幼少時からテクノロジーを駆使してソフィスティケートな消費者として育ったGen Yらしく、「自分に最適の大学を、親が学資3万ドルを支払う前に知りたい」と発言し、公立大学で年間平均が1万2,127ドル(2001年から比べて25%増)、私立で2万9,026ドルと、年々高騰する教育費の費用対効果を測っています。

*Generation Y(Gen Y:ジェネレーション Y):Milennials(ミレニアルズ)とも言われ、世代区分には諸説ありますが、米国で1977年〜1999年の間に生まれた7,000万人から8,000万人の7歳から29歳ぐらいの世代を指します。この世代は、現在の米国の21%〜30%の人口を占め、その親や祖父母の世代Baby Boomers(ベビーブーマーズ)と同様に、米国の次世代を担う大きな消費者グループとして、注目されています。

 

1週間に10回以上、大学生の子供にコンタクトする親たち

最近の親の子供への干渉度は年々エスカレートしており、 昨年のAmerican Psychological Associationの調査によると、 親が新入生の子供に、1週間に10回以上コンタクト(電話やEmail)をして、様子を監視しているという、驚くべき数字も 報告されています。従来、高校卒業を機に親から離れて、自立した大人として当然自分で行っていた大学入学の事務手続き、 単位選択、学生寮への入居なども、親が代わりに行うケースも発生し、子供の住環境がよくないと大学に寮の質の向上を 求めるなど、親の過保護ぶりは、多くの大学関係者を悩ませています。また「効率化」を求めるGen Yは、大学を 「アカデミックな学問の場」から、「学歴=キャリアパス」取得のための場と考え、短期間に多くの単位を修得して 早く卒業することにフォーカスすると発言しています。

子供の職場に現れてホバリングするヘリコプター両親

こうしたGen Yへの親の過保護ぶりを、米国では「Helicopter Parents(ヘリコプター両親)**」と呼ばれていますが、これが大学キャンパス内だけに限らず、社会人となったGen Yの雇用企業に飛び火しており、企業の人事関係者の間で、大きな波紋を巻き起こしています。以下は、General Electric (GE)、Boeing、Vanguard Group、PNC Financial Services Group、Pella Corpなど、米国の大企業やリクルート企業で、実際に起きたGen Yの親たちのホバリング振りを示すケーススタディです。

  •  親が面接に同席する(親の同席理由:子供の職場環境を知りたかったから)

  •  親が、自分の子供がなぜ雇用されなかったか?という質問を電話でたずねてくる。

  •  子供がいかに優秀でこのポジションに最適かという電話をかけてくる。

  •  Job Offer(採用条件)のレターのコピーを、子供だけでなく親にも送る。

  •  親が人事に電話をしてきて、子供の採用条件や契約サラリーの交渉をする。
  • **ヘリコプター両親・ヘリコプターママ:ヘリコプターが上空でホバリングしながら常に監視するように、子供の生活すべてを監視・干渉して、親が何でも子供の代わりにやってあげようとする。

    企業関係者が嘆くのは、現実としてOffer Letter(採用条件通知)を出しても、10人中7人が「親に相談してから連絡する」と答える以上、親の子供への就職コンサルテーションを無視して採用することはできず、親を巻き込んだ採用プロセスを実施して、Gen Y親子と交渉にあたると発言しています。

    成人した子供と親との同居率が高まる米国

    米国のCensus Bureau国勢調査)の統計によると、25-34歳の成人が親と同居している比率は11%と、20年前の1980年の8.7%から急上昇しています。この数字は、子供の自立(親離れ)の時期の遅さを、具体的にデータであらわすものですが、こうした現象が起こる理由として、以下のような原因が考えられます。

  •  大卒の一般化(かつての高校卒業と同様なくらいに一般的になりつつある)

  •  MBA・PhDのような高学歴の取得を目指す傾向が高まってきている(高額給与や好条件の就職先を得るため)

  •  結婚年齢の高齢化

  •  ブーメランキッズ現象(高校中退・大卒後の職探し・レイオフされて家賃を払えない・持ち家のローンを貯めるまでなど、様々な理由で一度家を出た子供たちが親元に戻る)
  • こうした現象の要因は、子供をトロフィーチルドレン***として重要視するブーマーズの親が、その前の世代と異なり、成人した子供の同居を受け入れるマインドセットと、もう1つは、以下の表が示すように、過去30年間で、米国の社会経済状況が大幅に変化し、子供の早期の経済的自立が困難となったことも、同居率を上げる一因になっていると推察できます。

     

    年代 年齢 高卒の男性労働者のサラリー 大卒の男性労働者のサラリー
    1972年 25〜34歳 平均4万2000ドル
    (現在の物価に換算すると)
    平均5万2087ドル
    (現在の物価に換算すると)
    2002年 25〜34歳 平均2万9000ドル 平均4万9655ドル

    出典:sfgate.com


    ***トロフィーチルドレン:かつて成功した男性がその競争の結果として、若くて美しいトロフィー(賞品)のような妻を得ることを「トロフィーワイフ」と言ったように、常に同世代と競争してきたブーマーズの親が、その競争原理を自分の子供に持ち込み、最高の教育と贅沢なものを与えて、自分のために最高の子供を創ろうとしている。

    ジェネレーションYは、「ミドルクラスのライフスタイル」に到達できるのか?

    前述したように、高騰する教育費は親の経済的な負担の増大とGen Y自身にも多額な学生ローンという負債を背負う結果をもたらし、Gen Yは前の世代に比べて、すでに社会人としてスタートする時点で、経済的にマイナスの状態(学生ローンの返済)から出発しなければなりません。さらに上記の表に示されているように大卒で稼げるサラリーも実質的には減少しており、最近の調査によると、Gen Yの18〜29歳の3人に1人は健康保険の加入・購入ができないという現実を生んでいます。こうした現状の中で、上記のヘリコプター両親の行動は、実は米国社会の厳しい競争原理の中で勝ち抜かなければならない子供たちに、できる限りの教育や機会を与えて、彼らが最終的に高収入で好条件の職を得て自立できるようにサポートしたいという、親としての強い思いが底流にあって、起きた現象なのかもしれません。2005年の10月のPARADEの「Middle Class Study」****によると、米国のミドルクラスの52%は自分の両親たちよりも良い生活を送っていると答えていますが、56%が自分の子供たちおよび次世代は自分たちの生活よりも悪くなると回答しています。親の世代のブーマーズが達成できた「ミドルクラスのライフスタイル」に、Gen Yは到達できるのか?これは、今後のアメリカ社会の大きな課題です。

    ****「Middle Class Study」:2005年10月PARADEが、Mark Clements Researchに依頼して、オンラインパネルによる、2203人の18歳以上の成人を対象にミドルクラスに関する意識調査を実施。ミドルクラスの年間世帯年収は3万ドルから9万9000ドル。

     

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    大柴ひさみ (Hisami Ohshiba)

    1979年外資系広告代理店電通ヤングアンドルビカム(DY&R)に入社、外資系企業の広告マーケティングを16年間担当。1995年にカリフォルニアに移住し、米国大手広告代理店やダイレクトマーケティングの会社勤務などを経た後、1998年2月JaM Japan Marketingを設立。2001年1月ビジネス拡大のために、JaM Japan MarketingをLLCとして組織変更する。海外市場進出を目指す日米企業を対象にクロスカルチャーなナレッジをベースに、マーケティング戦略の開発立案、市場調査分析、広告PR、ローカリゼーションを含むコンサルティング活動を提供。講演・執筆活動も多く手がけている。
    大柴ひさみの初の書籍「ひさみの冒険」がひつじ書房より発行されています、詳細はこちらhttp://www.hisami.com)で。また、大柴ひさみの近況がわかるブログもゾクゾク更新されています。ご意見・ご質問歓迎します。



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