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| オータナティブ・マーケティング:Influencer(インフルエンサー)の活用 (Alternative Marketing - Influencers) *ベイエリア最新事情2005年5月16日* |
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太平洋半分横断の航海
Pacific Islander(パシフィック・アイランダー)の私 私は、1995年に米国に移住し、永住権の手続きをした際に、生まれて初めて、自分自身の肌、髪、眼などの「色」について聞かれ、非常にとまどった経験があります。一度も「自分の色」について、考えたことがなかった私は、横にいた夫にイチイチ「私の色」を確認しながら記入し、「肌の色はイエローと書くべきか?」と聞いたら、夫はキミの肌の色は、「ライトブラウン」と言われて、逆にそこまで私の肌はダークだと思われていたのかと、軽いショックを受けました。さらに、「白人、アフリカ系、ヒスパニック、アジア系、ミックス」という人種に関する項目が現れ、はたと目をひいた言葉が、「Pacific Islander(パシフィック・アイランダー)」というカテゴリでした。私は初めて目にしたこの言葉から、即座に広大な太平洋に散在する島々の間を、危険を顧みずに小さなボートで勇敢に航海する人々を思い浮かべました。さらにその太平洋の端っこに位置する島「日本」も、それに含まれてしかるべしと思い、思わず自分を「パシフィック・アイランダー」で登録しました*。この「パシフィック・アイランダー」の私は、「バイキングの末裔」であるアメリカ人の夫(4世代前にデンマークから移住)と、今回の太平洋半分横断航海に出かけます。通常、東洋人と西欧人の出会いを、「East Meets West」と表現しますが、我が家の場合は、「Pacific Meets Atlantic」という感じで、南の海と北の海の海洋民族のDNAを持つ人間の出会いです。 バイキングの末裔「泳ぐCEO」のBuzz(バズ:話題)とは? そんなオーシャン好きな私が、「やられた」と思わず絶句したのが、同じくバイキングの末裔のノルウェーのOpera Software(オペラソフトウエア:http://www.opera.com/)のCEO、Jon S. von Tetzchnerのストーリーです。彼は「4日間で自社のブラウザー“Opera 8”の100万ダウンロードが達成できたら、ノルウェーから米国まで泳いで大西洋を渡る」と公約し、結果100万件のダウンロードを達成して、ノルウェーの凍てつくフィヨルドの海を、ウェットスーツを着て泳ぎ出しました。以下は、その経緯と結果です。
この地図に描かれているように、CEOはノルウェーを出て母親の住むアイスランドに立ち寄ってホットチョコレートを飲み、それからアメリカに向かうという予定をたて、サイト上にその模様がレポートされています。メディアにこの話を仕掛けた広報担当者がゴムボードで随行しましたが、結果は、周囲の予想通り、2人とも2日目に挫折して、この公約を果たすことはできませんでした。 情報は、コミュニティのSocial Currency(社会的通貨) この「泳ぐCEO」の話は、マーケッターの視点から見て、非常に興味深い話で、いかに現代の人々が、Word of Mouth(WOM:口コミ)や、Buzz(バズ:話題)に興味を持ち、さらにそれに直接参加したいかという欲求を良く表しています。CEOの公約は、とんでもないストーリーで、人々はこうした「非日常的なストーリーの実現に巻き込まれること」を欲しており、その実現のために、オンラインで情報をバイラル化して、周囲のコミュニティに伝播する努力を惜しみません。上記オペラソフトウエアの場合は、この公約を意図的にパブリックに流すことによって、Organic(オーガニック:有機的)に発生しつつあったWOMを増幅強化させ、直接ビジネスへと結びつけました。最近のブログブームに代表されるように、こうしたCGM(Consumer-Generated Media)*によって、つくられ、循環し、共有されるストーリーは、まさにコミュニティの「Social Currency(社会的通貨)」です。人々は、いろんな通貨を手にしたいし、自分が参加して、流通させるなら、面白い通貨がいいと思っているようです。 *CGM:以下のように、消費者自らが作り出し、循環させてシェアする、オンライン情報。
毎日2万ずつ新たなブログが生まれている CGMの力は、以下に示したような既存メディアの影響力の低下と相まって、その力が日々強まっている感を受けます。
世界でブログは推定3,400万あると言われ、日々2万ずつ新たなブログがクリエイトされていると言われています。もちろん、ほとんどはオンライン上の個人の日記的なものが多く、すべてが社会的な影響力を持ち、大きく循環されているわけではありません。ただ、既存メディアの定型的な情報とは異なり、一般の人たちの個々の情熱によって創出されるCGMは、玉石混淆とはいうものの、その熱心さゆえに情報に深度が加わり、コミュニティの多くの人々たちに支持、信頼されています。また、既存メディアは、こうしたコミュニティ全体の反応をみるための有力なソースとして、CGMの果たす役割を重視し始めています。 Influencer(インフルエンサー)の重要性 Cこのように新旧のメディアが発信する情報量は、日々莫大な数に膨れあがっており、一般の人々の悩みは、「情報の取捨選択」です。ここで重要な役割を果たしているのが、「Influencer(インフルエンサー)」と呼ばれる人たちです。アメリカ人の10人に1人はこの「Peer Influencer(ピアインフルエンサー:仲間で影響力のある人)」であるとされ、残りの9人にさまざまな影響を与えています(投票、食事、ショッピングなど)。彼らは非常に社交的で、周囲の人々とコミュニケーションをすることを好み、所属するコミュニティから、信頼されています。彼らの重要な役割は、上述した氾濫する情報の濾過装置としての役回りで、WOMを主体としたバズマーケティングでは、このインフルエンサーの活用が不可欠となります。上述のオペラソフトウエアのバズ創出にも、インフルエンサーは確かに存在していたはずですし、米国の企業は、すでにその企業のスケールの大小にかかわらず、新たな視点からインフルエンサーを活用したオータナティブなマーケティングを実施しています。実際にバズ創出を専門に行うマーケティング会社も登場しており、WOMを活かしたさまざまな手法が、試行錯誤の中で開発されています。いかに彼らにリーチするかが、ブランディングの重要な鍵となりつつあります。 * 人種は統計用に任意オプションで記入するものです。日本人は、Pacifc Islanderではなく、Asianに属します。 |
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大柴ひさみ (Hisami Ohshiba) 1979年外資系広告代理店電通ヤングアンドルビカム(DY & R)に入社、外資系企業の広告マーケティングを16年間担当。1995年にカリフォルニアに移住し、米国大手広告代理店やダイレクトマーケティングの会社勤務などを経た後、1998年2月JaM Japan Marketing(http://www.jamjapan.com/jp/)を設立。2001年1月ビジネス拡大のために、JaM Japan MarketingをLLCとして組織変更する。海外市場進出を目指す日米企業を対象に、クロスカルチャーなナレッジをベースにマーケティング戦略の開発立案、市場調査分析、広告PR、ローカリゼーションを含むコンサルティング活動を提供。講演・執筆活動も多く手がけている。2003年2月初の書籍「ひさみの冒険」がひつじ書房より発行 (http://www.hisami.com)。ご意見・ご質問はhisami@jamjapan.comまで。 |
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